セキュリティ通信

警備のセキュリティ・プランナーについて/他の資格と併せてご紹介

はじめに

 

資格がなくても警備員になることはできますが、警備員として働き続けるならいずれ資格が必要になってくるものです。
複数ある警備関係の資格の中でも、「セキュリティ・プランナー」は警備員として経験を積んできた実務経験者にとって、ひとつの目標となる資格であると言えます。
この記事では「セキュリティ・プランナー」とはどんな資格なのか、警備員にとってプラスになる他の資格と併せて解説します。資格取得に興味のある方はぜひご一読ください。

セキュリティ・プランナーとは?

セキュリティ・プランナーとは、全国警備業協会が認定する警備業務に関わる民間資格のひとつです。防犯・防災をメインに、警備対象に合わせた最適な安全を実現するためのプランを立て、提案・実行する警備のスペシャリストで、警備業務の内容を十分に理解し、顧客に対して最適な警備計画を策定することを役目としています。一言で言うならば警備計画のプロです。
令和2年3月末までに63回の講習が開催され、3,300名以上が資格を有しています。
資格の有効期限は5年間で、資格更新の課程を修了することで5年間更新されます。
セキュリティ・プランナーの資格を持っていることが入札の条件になっている官公庁もあります。

 

また、セキュリティ・プランナーの上位資格として「セキュリティ・コンサルタント」があります。
こちらはセキュリティ・プランナーの業務をカバーしつつ、より広い範囲で警備計画の策定・提案をし、顧客のリスクを低減することが求められます。企業や個人を取り巻く様々なリスクを把握しながら、警備業の範疇を超えた知見を持って、顧客のリスク低減策を提案・実行するための支援や助言を行います。令和2年3月末までに12回の講習が開催され、123名が資格を取得しています。
セキュリティ・プランナーと同じく資格の有効期限は5年で、資格更新の課程を修了することで5年間更新されます。
なお、セキュリティ・プランナー資格の所有者でなければ受講することはできません。

セキュリティ・プランナー講習の基本情報

セキュリティ・プランナーの資格を取得するには、全国警備業協会の開催するセキュリティ・プランナー講習を受講する必要があります。
講習は講義と技能訓練で構成されており、修了考査として知識と技能が一定レベル以上あるか判定するための筆記試験が行われます。
受講料は税込み38,500円で、講習に使われる教本代や修了考査の受験手数料も含まれます。

 

▽講習内容と合格率

講習は3日間の日程で、初日はセキュリティ・プランナーの役割と各警備業務について学びます。2日目は具体的な各警備業務の知識とセキュリティ・プランニングの作成をし、午後から技能実習が始まります。3日目の最後に技能試験(100分間)と学科試験(50分間)を受け、講習修了です。合格率は通年70%ほどとなっています。

 

▽講習の開催場所

関東地区(神奈川県相模原市、研修センターふじの)
近畿地区(大阪府警備業協会)
中部地区(名古屋市、愛知県警備業協会)
九州地区(福岡県福岡市、福岡県中小企業振興センター)
北海道地区、(札幌市、道特会館)
東北地域(宮城)
など、各地区別に年1~2回開催されています。詳しくは以下をご覧下さい。全国警備業協会

 

▽受講資格

次のような警備員の欠格事由にあてはまらない方であれば、学歴・職歴・全国警備業協会の加盟の有無に関わらず受講できます。

 

<欠格事由>

  1. 満18歳未満の方
  2. 破産手続き開始の決定を受けて復権を得ない者
  3. 禁錮以上の刑に処せられ、又は警備業法の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を受けることがなくなってから5年を経過しない方
  4. 最近5年間に、警備業法及び同法に基づく命令の規定等に違反し、又は警備業務に関し、警備業の要件に関する規則で定める重大な不正行為をした方
  5. 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第12条若しくは第12条の6の規定による命令又は同法第12条の4第2項の規定による指示を受けた者であって、当該命令又は指示を受けた日から起算して3年を経過しない方
  6. アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者

 

他にもある警備関係の民間資格

▽防犯設備士

防犯設備士とは、防犯設備に関する専門的な知識・技能を持った防犯設備の専門家です。防犯設備の設計・施工・維持管理および防犯診断に関する業務を行います。
特定の施設や建物を守るという点で警備員の業務と重なる部分の多い防犯設備士は、警備員としてキャリアアップするために取得する方も多い資格です。
日本防犯設備協会の防犯設備士養成講習を受けて取得します。以下の条項に当てはまらなければ受験できるので、ほとんどの方は受験できます。

  1. 禁固以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から3年を経過しない者
  2. 破産手続き開始の決定を受けて復権を得ない者
  3. 暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
  4. アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者

日本防犯設備協会の会員の場合は38,500円、会員以外は44,000円で受講できます。試験問題集代(2,200円)は別途必要になります。

 

▽サービス介助士

サービス介助士とは、高齢の方や障がいがある方の介助をする能力を認定する民間資格です。鉄道・航空などの交通業やサービス業の関係者が取得するケースが多いですが、駅での警備業務をする際にこの資格があると役に立つため、警備業でもサービス介助士の資格を取得する場合があります。
資格を取るには通信講座で課題を提出し60点以上で合格したのち、オンライン講座(6~7時間相当)と対面形式での実技教習を1日、または対面形式での実技教習を2日間受講し、検定試験に合格することが必要になります。
受講料は税込み41,800円で、教材代も含まれます。不合格だった場合は試験料3,300円で再試験を受験できます。

まとめ

セキュリティ・プランナーとは、警備経験を積んだ警備員が挑戦する資格のひとつで、防犯・防災に最適な警備計画を提案・実行する警備のスペシャリストです。
他にも警備関係の民間資格のひとつとして「防犯設備士」があり、キャリアアップのために取得する警備員も多いです。駅構内の警備をする会社では「サービス介助士」の資格があると役立ちます。
このように、警備業務に関わる資格は様々あります。警備員としてキャリアアップを図りたいとお考えの方はぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。