駐車場警備について
はじめに
警備業には多くの業務がありますが、「駐車場警備」とは文字通り駐車場や、訪れる利用者の安全を守る仕事を指します。
公共施設やショッピングモールなどの施設駐車場から、お祭りや野外イベントなどの来場者駐車場まで現場は様々です。
車が好きという理由で、駐車場の警備に関心を持っている方もいるのではないでしょうか?
今回は、主に施設の駐車場での警備について、仕事内容や誘導のやり方、資格などについてみていきたいと思います。
仕事内容
駐車場警備は、病院や図書館などの公共施設や、遊園地・テーマパークといった娯楽施設などの駐車場で、主に車の出入りや駐車をガイドする仕事です。
駐車場を使用する際に起こる交通事故を然に防ぐために行われます。
業務のメインは、
・駐車場内で空いた場所を見つけ、車がスムーズに止められるように誘導する
・駐車場内から、車がスムーズに出られるように誘導する
ことです。
出入口の周りでは通行人や自転車、走行中の車などで渋滞が起きないように、利用者が安全に使用できるようバックアップをします。
また、ショッピングカートの移動や、夏場にはエンジンを切った車の中に乳幼児が取り残されていないか見回るといった業務も行います。
状況によっては駐車場内の巡回で、犯罪やアクシデントを未然に防ぐこともあります。
判断ミスや間違った印象を与える誘導をすると大きな事故を招くかもしれない重要な仕事ですが、ほとんどの場合は複数人でチームを組んで警備にあたり、連係プレーで業務を進めます。
誘導のやり方
誘導は第三者優先(通行人や道を走っている車)で行われます。
駐車場から出る車を、絶対に通行人や自転車、走行中の車と接触させてはなりません。
①車が車道を走っている時や歩行者が歩いている時は、駐車場から出ようとする車を駐車場内に止めます。
その際、警備員の立ち位置の目安は、出ていく車の左側前方1~2メートルくらいです。
②歩行者や車の動きが一段落するまでドライバーに待ってもらいます。
流れが落ち着いたら、出ていく車を歩道の中央付近まで誘導します。
③安全を確認できるまでは停止の合図を出しておきます。
再度、安全を確かめた後、ドライバーに車道に出るよう案内します。
誘導のポイント・注意点
- 警備員自身が車の進路の邪魔をしたり、視界が見えなくなるところに立ったりしないよう気をつけましょう。車の円滑な流れを止めてしまうからです。
また、自分の身を守るためにも、周りの状況をよく確認することが大切です。
- 車が出ていく際には、必ず安全を確認してから車道に出ても大丈夫な事を案内します。
中には安全確認を十分にしないまま出ていこうとするドライバーもいるため、注意が必要です。
車道に出てもらうのは、信号の色が変わって走行中の車が減速する時か、車が途切れるタイミングを待つとよいでしょう。
- 車を運転する人の性格は様々です。
早く駐車場を出ようとする人には、周りの安全を確かめてから動いてもらいます。
一方、警備員の指示を待っている慎重なドライバーには、きちんと車道や歩道の安全を確かめた後、車を道の中央付近に誘導しましょう。
場合によっては、走行中の車が速度をゆるめたり、止まってくれたりする可能性があるため駐車場から出やすくなります。
対応は臨機応変に
駐車場警備では、誘導以外でも臨機応変な対応が必要とされます。
公共施設やショッピングモールなどを訪れる際、駐車場を利用する人が最初に出会うのは警備員です。
利用者から警備員は従業員の一人として見られるため、ドライバーに対して不愉快な思いをさせてしまうと訪れる施設や店に負担がかかってしまいます。そのため、振る舞い方には注意が必要です。
また、働く現場によってふさわしい対応が異なります。
例えば、商業施設なら明るい振る舞いが大切ですが、葬儀場なら慎んだ対応で、病院であれば緊急を要するため万全の注意を払って迅速な誘導を行う、といったように現場に合わせた対応が求められます。
資格について
駐車場で誘導している警備員をよく見かけると思いますが、ステップアップにつながる国家資格があることはあまり知られていません。
駐車場警備に興味のある方は、前もって検定について知っておくとよいでしょう。
交通誘導警備業務検定
警備員の仕事は資格がなくても始められますが、駐車場警備では駐車場内の交通誘導を行う業務があるため、「交通誘導警備業務検定」という資格を活かせます。
駐車場の警備で「交通誘導警備業務検定」の1級あるいは2級の合格者を配置することが義務付けられている現場もあるからです。
2級の受験資格には要件の定めがなく、誰でも受けることが可能です。
1級については、2級合格者で、格証明書の交付を受けた後、当該警備業務の経験を1年積まないと受けることはできません。
資格の取得方法
資格を取得する方法は次の2つです。
①特別講習
警備会社に所属する現役の警備員が受けられます。
公安委員会の登録講習機関の講習を受け、修了考査に合格すると資格を取得することができます。
②直接検定
個人で資格を取得することも可能です。
特別講習を受けず、都道府県公安委員会が実施する「直接検定」に合格すると、資格を取得することができます。
このように2つの方法がありますが、経験を重ねたほうが内容を理解しやすいので、入社してからチャレンジするのがおすすめです。
警備会社では、資格を持っていると仕事の発注者から配置要請を依頼されることが多いため、資格取得をすすめられる事があります。
特別講習の場合は会社が費用を出してくれる場合もあるため、求人欄で資格取得の手当てなどについて記載を確認しておくとよいでしょう。
資格を持つことで業務の幅も広がって、なにより自分の待遇アップやキャリアアップにも結びつきます。
まとめ
駐車場警備は、公共施設やレジャー施設、大型ショッピングモールなどでは欠かせない業務です。
最近は、施設の駐車場だけでなく、大勢の人が集まるイベント駐車場などの警備の需要も高まっています。
働くうえで、駐車場警備の高度な技術にやりがいを感じるという人も多いです。
車好きの方も、どの現場で警備をしたいか探している方も、この記事を読んで駐車場での警備業務に興味を持っていただければ幸いです。