施設警備1級とは?試験内容や合格基準、担当する現場について解説

施設警備業務検定1級(以下、施設警備1級)は、警備業務のプロフェッショナルとしての知識とスキルを証明する資格です。警備業界でのキャリアアップを目指す上で欠かせないものであり、より専門性の高い現場で活躍する道が開かれます。
今回は、施設警備1級の概要や試験内容、資格取得者が担当する現場などについて幅広くご紹介します。警備員の仕事に興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
施設警備1級とは?
施設警備1級は、警備業務の対象となる施設において、事故の発生を未然に防ぐために必要な専門知識・能力を測る国家資格です。単なるスキルアップにとどまらず、警備業界でのキャリアを大きく左右する重要な資格でもあります。
というのも、多くの人が「警備の仕事は未経験でも始められる」というイメージを持っており、それは決して間違いではありません。しかし、警備員としての専門性を高めることで、担当できる仕事の幅が広がり、責任のある仕事を任される機会が多くなります。
この点から、警備員としての市場価値を飛躍的に高めるため、そして給与アップや安定した雇用など、警備業界でのキャリアアップを目指す上で、施設警備1級は重要な資格といえます。
施設警備1級を取得することは、現場の状況を的確に判断し、適切な指揮・監督を行う能力が備わっていると認められた警備員の証となります。
なお、施設警備1級を取得するには、まず施設警備業務検定2級を取得し、その後1年以上の実務経験を経る必要があります。これは、単なる知識だけでなく、現場での応用力や判断力も問われるためです。
施設警備1級を取得しないと警備員にはなれないの?
結論から言うと、施設警備1級を持っていなくても警備員として働くことは可能です。警備の仕事は未経験者でもチャレンジしやすく、多くの警備会社が未経験者を歓迎しています。警備員として働き始めてから、業務に必要な資格を取得していくのが一般的なキャリアパスといえるでしょう。
警備会社によっては、従業員のスキルアップを支援するために「資格取得支援制度」を設けています。この制度を利用すれば、資格取得にかかる費用を会社が負担してくれるため、自己負担を最小限に抑えながら着実にステップアップができます。
この点から、警備の仕事を探す際は「未経験者可」だけでなく「資格取得制度あり」という文言にも注目してみましょう。働きながら上位資格の取得を目指せる環境は、より安定した長期的なキャリアを築くための強力な後押しとなります。
警備のMTでは、経験や資格がなくても働けます。充実した研修制度を設けているため、一から警備員としてのキャリアを築くことが可能です。警備員の仕事に興味のある方は、ぜひ下記をチェックしてみてください。
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施設警備の仕事内容については、下記にて詳しくご紹介しています。合わせてご覧ください。
施設警備1級の試験について
施設警備1級の試験では、専門性の高い業務を遂行するための高度な知識と技能を測るため、学科試験と実技試験の両方が行われます。
施設警備1級の学科試験
施設警備1級の学科試験では、2級で学んだ基本的な知識に加え、対象施設におけるより広範で深い知識が問われます。具体的には、保安業務や警備計画書に基づく警備業務、災害発生時の対応策など、より実務に即した内容が出題されます。
学科 |
警備業務検定に関する規則 | 施設警備1級の出題範囲 |
警備業務に関する基本的な事項 | ・施設警備業務の形態
・施設警備業務の実施と基本的人権 ・施設警備業務検定1級合格者の役割 ・1級検定合格者と警備員指導教育責任者との関係 ・部下指導上の留意点 |
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法令に関すること | ・警備業法、憲法、刑法、刑事訴訟法、警察官職務執行法、遺失物法、消防法、銃砲刀剣類所持等取締法、民法、軽犯罪法に関する知識 | |
警備業務対象施設における保安に関すること | ・物品運搬許可等を使用した出入管理の方法
・車両の出入管理と事故の防止 ・爆発物等に対する予防に関する知識 ・隠匿物件の発見要領 ・重要施設における巡回実施要領 ・不審な物件又は不審者発見の着眼点 ・総合管理システムの機能及び使用方法 ・非常用放送設備の機能及び使用方法 ・総合管理システム、非常用放送設備の誤作動の原因の解明 |
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施設警備業務の管理に関すること | ・事前調査の意義と重要性
・事前調査実施上の留意事項 ・警備計画書及び警備指令書の作成要領 |
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警備業務対象施設の破壊などの事故が発生した場合における応急の措置に関すること | ・脅迫電話(爆破予告)等の対処要領
・爆発物発見時の措置 ・不審物件を発見した場合の立入制限区域の設定 ・事故の発生後の指揮命令 ・警察関係機関等への追加連絡要領 ・負傷者観察上の着眼点 ・火災発生時における避難誘導の実施要領 ・警戒棒の管理、応用操作及び取扱いの適否 ・警戒杖の管理、応用操作及び取扱いの適否 ・非金属製の楯の管理、応用操作及び取扱いの適否 ・徒手の護身術(応用) ・群集心理の態様と適切な対応 ・火災発生時の対処要領 |
参照:警視庁「施設警備業務検定(1級・2級)の学科試験及び実技試験の出題範囲及び配点の基準」
なお、試験の出題形式や合格基準は下記のとおりです。
出題形式:5肢択一式の問題が合計20問出題されます。 試験時間:60分 合格基準:100点満点中、90点以上で合格となります。 |
施設警備1級の実技試験
実技試験では、現場での実践的な対応能力を評価します。単に動作ができるかだけでなく、正確性や判断力、手順の確実性などが厳しく審査されます。持ち点100点からの減点方式で行われ、合格基準は90点以上です。
実技 | 警備業務検定に関する規則 | 施設警備1級の出題範囲 |
警備業務対象施設における保安に関すること | ・人や車両の出入管理
(携帯型金属探知機による隠匿物件の発見要領・X線透視装置による不審物件の判別) ・重要施設における巡回実施要領 ・不審な物件又は不審者発見の着眼点 ・施設警備業務用機器の操作 (総合管理システム・非常用放送設備の機能および使用方法) ・施設警備業務用機器の故障または不調の際の措置 (総合管理システムの機器の部分遮断・自動システムへの手動切替) |
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施設警備業務の管理に関すること | ・警備計画書および警備指令書の作成要領(警備員の配置計画書等) | |
警備業務対象施設の破壊などの事故が発生した場合における応急の措置に関すること | ・爆発物発見時の措置要領
・不審物件を発見した場合の立入制限区域の設定 ・警察関係機関等への追加連絡要領 ・非常用放送設備を使用した避難誘導要領 ・警戒棒および警戒杖の応用操作要領 ・徒手の護身術(応用) ・屋内消火栓の使用方法 |
参照:警視庁「施設警備業務検定(1級・2級)の学科試験及び実技試験の出題範囲及び配点の基準」
施設警備1級の試験を受ける方法
施設警備1級を受験する方法は、主に以下の2つがあります。
1.都道府県公安委員会の直接検定
各都道府県の公安委員会が実施する試験を直接受ける方法です。年に1回開催されており、2級の合格証明書の交付を受けた後、1年以上の実務経験を積むことで受験資格を得られます。また、公安委員会が同等以上の知識・能力を有すると認めた方も試験を受けることが可能です。
2.指定機関の特別講習
一般社団法人警備員特別講習事業センターなど、公安委員会から指定された機関が開催する特別講習を受講し、最後に実施される修了考査に合格する方法です。講習を受講しながら効率的に知識と技能を身につけられるため、計画的に合格を目指したい方におすすめです。
施設警備1級の合格率について
一般社団法人 警備員特別講習事業センターの発表によると、2023年度の施設警備1級の合格率は66.0%と比較的高い水準です。さらに、再試験の合格率は74.1%となっているため、仮に不合格だったとしても一度の挑戦で諦める必要はありません。
合格率が6割を超えていることから、出題傾向を把握し、しっかりと対策を立てれば、充分に合格を狙える資格といえるでしょう。
参照:一般社団法人 警備員特別講習事業センター「合格率データ2023年」
警備のMTでは資格取得のサポートを行っており、警備員として成長できる環境が整っています。未経験からキャリアをスタートしたスタッフもいるため、警備業務のこと、資格取得のことなど、不安なことを相談しながら警備員としての力を磨くことが可能です。警備員の仕事に興味がある方、警備会社への就職・転職を検討している方は、ぜひ警備のMTまでご連絡ください。
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施設警備1級合格者の担当現場・仕事内容
施設警備1級に合格すると、警備員としてのキャリアは大きく広がります。専門性の高い現場に配属されたり、チームのリーダーとして活躍する機会が増えたりするため、大きなやりがいと収入アップにつながるでしょう。
警備業法に基づき、空港や防護対象特定核燃料物質取扱施設など、とくに高いレベルの警備が求められる現場では、施設警備1級合格者を1名以上配置することが義務づけられています。
施設警備1級を取得することで、こうした重要な施設の警備を担当する機会が増え、より責任感と使命感が求められる仕事に就くことができます。
また、法律で配置が義務づけられていない施設でも、施設警備1級の資格を持つ警備員は、その専門知識と経験を活かして警備チームのリーダーを任されることが多くなります。
警備計画を作成したり、現場の指揮をとったり、災害やトラブルなどの緊急時の対応を任されたりと、チームを率いる重要な役割を担います。
このような責任ある仕事を担当するため、施設警備1級は単なるスキルアップではなく、キャリアアップに直結する重要な資格といえるのです。
さらに、リーダーとしての経験は、将来的に警備会社の管理職についたり、独立したりする際にも役立つ大きな財産となるでしょう。
まとめ
施設警備1級は、警備業界で働く上で大きな強みとなります。取得には実務経験が必要であり、試験では学科・実技ともに高いレベルが求められます。しかし、合格すれば特定の重要施設を担当したり、警備チームのリーダーとして活躍したりする機会が増え、給与アップやキャリアアップにも直結します。
資格取得支援制度を活用すれば、未経験からでも着実にキャリアを築いていくことが可能なので、警備員への就職や転職をご検討中の方は、支援制度の有無を確認した上で働く警備会社を決定しましょう。
警備のMTは、愛知県名古屋市を拠点に施設警備や交通誘導・雑踏警備などを行う警備会社です。愛知県や岐阜県、北海道に営業所があり、各拠点でさまざまな警備業務を請け負っています。
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