定年後に警備の仕事に就けるのか
はじめに
定年が近づいてくると楽しみな反面、精神的・金銭的に不安に感じる方も多いかと思います。
また、体力的にも問題ないので仕事を続けて社会と接点を持ちたいと思う方もいるはずです。
これらの理由から、退職後も働くことを検討する方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、高齢者が応募できる仕事はある程度限られてしまっている傾向があります。
そうした中で、定年後に応募しやすく、続けやすいのが警備関係の仕事になります。
今回は定年後の選択肢としての警備の仕事を考えてみましょう。
警備員として働ける年齢について
警備員のとして働ける年齢は、下は18歳以上からと警備業法により定められていますが、上限は定められていません。
年齢・経験問わず門戸を開いている警備業は平均年齢も他の職業に比べると高く、男性警備員は53.6歳、女性警備員は42.7歳です。
他の仕事に従事してきた方が定年退職された後、警備員に転職するのもごく一般的なことで、こういった事情もあり平均年齢が高めになっているようです。
警視庁生活安全総務課による警備業の実態と指導強化推進状況【令和元年】によると、65歳以上の警備員は男性が29,772名、女性が724名、警備員全体の25.6%を占めます。これは最も多い30代から40代の次に多く、この数字から65歳以上の警備員が多く働いていることがわかります。
高年齢層の働きたい方の就職先として警備業があることがお分かりいただけるかと思います。
高齢者でも警備員として働ける理由
高齢者でも働ける仕事内容
警備員の仕事は肉体労働ではありますが、激しく動いたり重い荷物を運んだりということはなく、基本的に立っていることが中心です。体力の必要な仕事ですが、若者でなければ務まらない仕事ではありません。
警備員の代表的な仕事のひとつとして、道路工事などの際に通行人を誘導する交通誘導警備の仕事があります。この仕事で最も必要なのは、長時間立っていられる体力です。
屋外での仕事なので暑さや寒さに強い体も必要になってきます。勤務時間中ずっと休まず立ち通しということはなく、通常は複数の人員がいて交代で休憩しながら業務を行います。
また、オフィスビルや商業施設での警備を行う施設警備の場合は、交通誘導警備ほど体力が重視されませんが、長時間にわたって決められたスケジュールをこなすことが大切です。
警備員の業務は、他の仕事だと働くのが厳しくなる年齢層であっても可能なものになっています。そのため定年後に警備員に転職する方も多いですし、高齢者を受け入れる警備会社も多いです。
警備業界の人手不足
警備の仕事は需要が高く、いつでも必要とされていますが、残念ながら常に人手不足です。
ですが逆に考えると、この状況は仕事を探している方にとっては有利になります。警備会社にとって警備員になりたいという人は貴重な人材なので、他の業種では60歳以上の年齢での就職は困難でも、警備会社であればチャンスがあるのです。
今後も少子高齢化が進むことを考えると、人手不足が解消されることは難しいと予想されます。高齢者の雇用は今後も期待できることでしょう。
高齢者の就職は雇用側にもメリットがある
高齢者を雇うことは会社にとってもメリットがあります。
60歳以上の方を1年以上一定の就労時間で雇うことで国から助成金が支払われるからです。
例えば65歳で週30時間以上働く方を1年間雇った場合、会社は国から70万円の助成金を受け取れることになります。
特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)
労働時間区分が60~65歳未満の労働者……大企業の場合50万円、中小企業の場合60万円
労働時間区分が60~65歳未満の短期労働者……大企業の場合30万円、中小企業の場合40万円
特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース)
労働時間区分が65歳以上の労働者……大企業の場合60万円、中小企業の場合70万円
労働時間区分が65歳以上の短期労働者……大企業の場合40万円、中小企業の場合50万円
警備員として働くために必要なこと
これまでご説明してきたとおり、警備員は60代以上の方でも働くことができる職業です。しかし、このくらいの年齢の方は、健康に注意しつつ働かなければいけません。
警備員は重労働ではないですが、肉体労働であることには変わりありませんので、無理をしてしまうと体に大きく負担がかかることになってしまいます。
定年後に警備員として働いてみようと思ったら、以下の点に気をつけてみましょう。
・体操や運動で体づくりしましょう
警備員の仕事は体力が必須です。特に交通誘導警備や、イベントやお祭りなどで警備を行う雑踏警備という業務は屋外で長時間立ち続けることになります。
暑さや寒さで体力を消耗しながら働くことになるため、日ごろから体操や運動を習慣にして体力づくりを心がけましょう。
また、どの季節でもそうですが特に夏の暑い時期には水分補給にも気をつけましょう。夏場の熱中症は警備員の天敵です。仕事以外の時でものどが渇いていなくても10分に1回は水分補給をするようにして、仕事中の水分補給の習慣をつけておくとよいと思います。
・繁忙期と閑散期で仕事量が変わります
警備員の仕事にも繁忙期と閑散期があり、例えば夏祭りや花火大会などイベントが多い夏期、道路工事の増える3月などは仕事が急増します。
あらかじめ時期によって仕事量に変動がある仕事であることを覚えておくとよいでしょう。
まとめ
警備員は体力が必要ですが高齢の方でも働ける内容の仕事です。65歳以上の方が多く働いており、定年後のセカンドキャリアとして警備員を選ぶ方もいます。
会社としても警備業全体の人手不足という面と、1年以上一定時間働いていただけると国から助成金が受けられるという事情もあり、高齢の働き手を歓迎する会社が多いです。
定年後にまだ働きたいという方は、ぜひ警備の仕事を選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。