セキュリティ通信

警備の未来

はじめに

技術がさらに発達してきている現在ですが警備は今後どのようになっていくのでしょうか。
現在地からこの先どうなっていくのかをみていきたいと思います。

警備の現在地

現在は、地域のパトロールや学校警備、災害時の被災地パトロールなど、より地域に寄り添ったサービスを提供することで、地域社会に貢献しています。
一部ですが、刑務所の管理業務の受託も行っています。
さらに、国際的にテロ組織が活発化してきていますので、空港や原子力発電所といった施設の警備にも携わっています。

 

そのような重要である施設の警備には専門的な知識や技術が求められるので、業務内容や教育制度も常に進化しています。

 

◇働いている人
働いている人も昔は、「簡単に起業することができる」、「業務内容が単純な作業」、「人員の確保さえできれば収益がでる」、という点から、反社会的勢力と称される人たちが警備業界には多数いました。

 

しかし、現在は警備業法などの法整備が進んだことにより、警備業に従事する者には、様々な規制がかけられています。

 

代表的なものをあげますと、法的責任能力の低い18歳未満や成年被後見人等は業務に就くことはできない、反社会的勢力やそれに関係する人も働けないなどです。
貴重品を扱う業務もありますので、自己破産をした人もある程度の年数がたって復権を得るまでは警備業で働くことができません。細かく書くと他にもあります。

 

また、警備会社に就職する時の面接では、ほぼ必ず欠格事由(警備員にはなれない事柄)を聞かれますので、そこで引っかかる方は、その時点で不合格となります。
ですから、現在働いていられる方は全員、身元がはっきりしている方ということになります。
会社側からしても欠格事由に該当する人を雇ってしまった場合は、会社がなくなってしまう場合もありえるので、面接時に住民票や身分証明書等の提出、誓約書の記入などできる限りのことをしています。

 

◇人手不足である
警備業は人手不足である場合が多いようです。
なぜなら、警備を必要としている場所が増えているからです。

 

主な場所は
▸スーパーなどの商業施設
▸オフィスビル
▸銀行
▸学校
▸鉄道
▸駐車場
▸工事現場
▸道路での交通誘導
▸空港
▸マンション
▸各種イベント会場

 

ですが、これら以外にも近年は外国からの観光客の増加により、人気の観光地など、これまで必要とされていなかった場所でも警備員の配置が求められるようになっています。

 

また、魅力的な地方都市が注目されるにつれ、多くの人が訪れるようになり、地方での警備員の需要も高くなっています。
さらに、個人が防犯目的として自宅にホームセキュリティを設置することも増えていますので、警備員は時代の変化や技術の進歩などで、どんどん新たに必要になります。

 

警備の今後(未来について)

現在の警備についてみてきましたが今後警備はどのような方向に向かっていくのでしょうか。

 

◇ITやAIとの競合
今後は多様化する需要に合わせて、警備業界は様々なサービスの開発や発展に力を入れていきます。

 

家庭向けのサービスでは、各センサーや火災報知機、スマートフォンと連動して緊急時にお知らせするシステムなどがあります。
医療業界と連動することで在宅医療サービスやネットワーク医療を展開している警備会社もあります。
また、企業向けのサービスでは、遠隔で監視できるオンラインの警備システムや、企業や学校などの機密情報の漏洩を防ぐ警備システムがあります。

 

AIが導入されている例
▸商業施設やオフィスビルや個人宅などのセキュリティ監視システム
商業施設やオフィスビルなど、不審者の侵入により事件が起こる可能性があるような現場にとって、警備員の配置は必須になります。

 

しかし、人の⼒では⾒えない部分までは監視しにくいので、人的ミスが起こりやすいです。

 

また、24 時間ずっと監視する場合は、人の体⼒や気⼒を維持することも難しくなります。
さらに人材不⾜になってしまった場合は交代要員を用意することが難しくなります。
個人宅でも不審者の侵入を防ぎたいと思いますが、その場合はそもそも警備員の配置自体が難しいです。

 

このようなことから、AI によって24 時間監視させ、不審者をカメラやセンサーで感知しコントロールセンターに通知させるシステムが、導入されてきています。

 

▸施設をロボットで巡回
大規模な商業施設やオフィスビルでの巡回業務は、人の⼒だけでは確実に隅々まで目視するのは難しいです。
例えば、いつも巡回しているルートでも細かな場所の⾒落としや、非常⼝など重要な場所の把握が難しい場合があります。

 

そこで、建物の情報をインプットさせて巡回するロボットを導入する施設や企業が増えてきています。
ロボットだとインプットさせた巡回ルートを外してしまうことはありませんし、不審な人や物をセンサーで細かく感知することができます。

 

ただし、顔認証などのシステムをロボットに搭載する技術はまだ研究中です。
施設やオフィスの関係者を割り出して区別するというところまでは至っていません。
これはロボットが、センサーで感知した人物について動きや時間帯などのデータを考慮して、不審者か否かを判断しているからです。

 

▸犯罪を事前に予測する
AIやロボットによって不審な人物を発⾒した場合に、その⾏動パターンなどを総合して、犯罪が起こることを事前に予測するシステムの開発も進んでいます。
その精度はとても進歩していて、人が目視したときに感じる違和感と同様で細やかな判断ができるようになってきています。

 

◇AIの活用にも限界はある
AIやロボットが活用されてきていますが、これらの⼒だけでは防ぐことができない事態も考えられます。
それはどのような理由があるのでしょうか。

 

▸AI自体ではトラブルを解決することができない
AIによるセキュリティ監視システムを駆使した場合でも、実際にトラブルが起きた時はAIでは対処することができません。
AIはあくまでも異常を察知するという技術を備えているだけなので、トラブルを根本的に解決することは難しいです。

 

▸ロボットが破壊されてしまったり、盗難などに遭ってしまったりする可能性がある
施設などを巡回するロボットを導入していた場合、ロボット自体が破壊されてしまう可能性があります。
また、小型のロボットの場合は盗まれてしまう可能性もあります。

 

▸生体認証には脆弱性がある
人の指紋、体温、顔などの生態認証の技術は日々進歩しています。
しかし、それでも完全とはいえない場合もあります。
もし、認証の隙間をすり抜けて不審者が侵入してしまった場合は、その人物の⾏動を抑制することはできません。

 

・電源供給がストップしたときの対応
AIやロボットを導入する場合、電源供給という部分は大きな課題です。
何らかの理由で電源供給がストップしてしまった場合、システムそのものが作動しなくなるので、どんなに優れた機能を持つシステムでも役に立たなくなってしまいます。
また、充電式で稼働するロボットでも、充電が切れた場合を想定するケースが出てくると思われます。

 

◇警備業のすべてがAI やロボットに代わられるとは考えにくい
これらのことから、AIやロボットの性能がいくら向上したとしても、人的な能⼒でトラブルを解決する必要があることは変わりありません。
さらに、AI やロボットにデータを記憶させたり、コントロールしたりすることも人の手で行う必要があります。

 

上記のことから、人がまったく関与しなくなればAI やロボットも稼働することは難しいと言えます。
そのため、AIやロボットが人の警備員に完全に取って代わるという事態は考えにくいと思われます。

 

まとめ

 

 

今後大切になることは、AIやロボットの技術に頼るだけでなくうまく共存していくことです。
また、役割分担を行い人員不⾜の解消や警備強化の⽅法を考えることも重要になります。

 

これまで人の手が届かなかった部分をAIやロボットに助けてもらうという認識が、最も適していると思います。
これらの技術がさらに向上しより良い未来になることを願います。