警備の手旗(誘導旗)の合図について
はじめに
工事中の道路や建設現場の近くなどで、警備員が赤と白の旗を持って、人や車両を誘導している光景を見かけることがあると思います。
誘導業務を行う警備員は、交通誘導員・誘導員と呼ばれています。
誘導の旗振りは、様々な仕事がある警備業で、2号業務と呼ばれる「交通誘導警備」の重要な業務のひとつです。
今回は、警備の手旗(誘導旗)について、基本的な合図と、旗の振り方についてご紹介していきたいと思います。
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手旗について
交通誘導警備は、手旗などの道具を使って決められた合図を行い、車両や歩行者が安全に通行できるように誘導する業務です。
使用する紅白の旗のことを、手旗(誘導旗)といいます。
〈左手〉に〔赤の旗〕、〈右手〉に〔白の旗〕を持つことが基本です。
(※場合によっては、左右を持ち換えることがあります)
色は〔赤の旗〕が「停止」、〔白の旗〕が「進行」という意味を表します。
一般道路において合図を行う場合、手旗や誘導灯を使用する方法、素手(白手袋)による方法などがあります。
高速道路では主に大旗で合図が行われ、使用する道具の種類は現場によって異なります。
手旗は昼間で雨が降っていないときに用いられ、誘導灯は夜間など視界が悪い場合に使用されることが多いです。
手旗の合図
基本的な手旗による合図の方法は、次の5種類です。
- 停止(止まってください)
- 進行(進んでください)
- 幅寄せ
- 徐行
- 後進(バック)
手旗の振り方
まずは、手旗の動作の前に、交通誘導の基本姿勢を覚えましょう。
基本の姿勢
(1)軽くかかとを接し、ひざを伸ばす(気をつけの姿勢)。
(2)背筋を伸ばし、旗を持った両手は下に向け自然に垂らす。上体を腰の上に正しく保つ。
〈※注意点〉左右を見る場合には、頭だけをその方向に向ける。上体はねじらない。
- 停止の合図
(1)体を車両の方向に正対させる。
(2)〔赤旗〕を側頭部に沿って垂直に上げる。
(3)ひじや手首を曲げずに、少しの角度(約30㎝幅)で左右に振る(「停止の予告」という)。
(4)〔赤旗〕を肩の高さまで水平に下ろす。
(5)停止を求めた車両には、発進までの間(4)の「停止の合図」を継続する。
〈※注意点〉「停止の予告」を行っている時などに手旗が絡まった場合は、必ず手旗を下ろして直すこと。手旗を上げたまま振り回すと、相手への合図が不明になり混乱させるため絶対に行わない。
- 進行の合図
(1)体を車両の進行方向と平行にする。
(2)〔白旗〕を車両の方向へ、両肩の延長線上に水平にして向ける。
(3)進行方向の安全を確認する。
(4)〔白旗〕を水平の位置から反対方向の下方(45度)の位置まで、ひじや手首を曲げずに大きく振る。
(5)下方(45度)から再び水平に戻し、車が通過し終わるまで同じ動作をゆっくりと繰り返す。
(6)車両が自分の前を通過するまで注視を継続してから、基本の姿勢に戻る。
〈※注意点〉手旗を振る幅は、相手に伝わるようできる限り大きく、わかりやすい速さで行う。
- 幅寄せの合図
(1)体を車両の方向に、やや半身にする。
(2)〈車両から見て右に寄せる場合〉右手に〔白旗〕を持ち垂直に上げ、車両を注視しながら右から左(頭上から肩の高さ)に向かって振る。
〈車両から見て左に寄せる場合〉左手に〔白旗〕を持ち垂直に上げ、車両を注視しながら左から右(頭上から肩の高さ)に向かって振る。
(3)車両の幅寄せが終わるまで、同じ動作を繰り返す。
- 徐行の合図
(1)体を車両の進行方向と平行にする。
(2)車両側の〔白旗〕を、手の甲が上になるように持ち、肩の高さと水平に伸ばす。
(3)〔白旗〕の持ち手はそのままで、手首のスナップにより上下に振る。
- 後進の合図
(1)体を車両の進行方向と平行にする。
(2)進行させようとする側の手に〔赤旗〕、車両側の手に〔白旗〕を持つ。
(3)〔赤旗〕を自分の前方にまっすぐ伸ばし、後続してくる車両などに「停止(または注意)の合図」を継続する。
(4)進行方向の安全を確認する。
(5)〔白旗〕を「進行の合図」の要領で左右に大きく(水平⇔下方45度)振りながら、車両と距離を保ち、目的の位置まで誘導する。
〈※注意点〉原則として、車両の側面から2m以上、車両の後部から5~10m離れた位置(バックミラーなどから運転者に見える位置)で行う。
〈参考文献:「交通誘導警備業務の手引」社団法人全国警備業協会(2008)〉
まとめ
今回は、交通誘導の業務のひとつ、手旗(誘導旗)の合図についてご紹介しました。
基本的な合図は、①停止(止まってください、②進行(進んでください)、③幅寄せ、④徐行、⑤後進(バック)の5種類です。
警備の旗振りでは、安全のためにスムーズな誘導が求められます。自由なやり方では周囲が混乱してしまいます。基本の動作を守り、周りの状況や相手を注視しながら分かりやすい合図を送ることを心がけましょう。
また、歩行者やドライバーとして通行する際には、警備員の動きや手旗をよく見て、周囲に気をつけながら合図のとおりに行動しましょう。